私の「うつ」経験談
私は、うつを経験し、職場を休職した20代後半の社会人です。
現在は復職し、職場復帰も済んでいます。
この記事では、私がどのようにしてうつになり、どうやってうつから回復したかを、説明します。うつになる前の状態から説明するので、長くなると思います。
現在メンタルヘルスで苦しんでいる人の助けになれば幸いです(ちょくちょく更新すると思います。)。
1 主体的に仕事をするのを止めてから、うつ状態のウォーミングアップが始まった
職場で採用されてからの数年は、何もおかしなことはありませんでした。採用年数に比べると、忙しい部署に配属されていましたが、なんだかんだ、仕事をするのが楽しかったです。しかし、仕事をこなしていくと、どんどん忙しくなっていきます。他の職員に比べ、明らかに私の仕事量が多いのです。その分残業しますが、定時で帰る先輩職員より私の給料は少ないです。ただ、文句を言っても何も変わらず、その時間が非効率だとも思っていたので、黙々と仕事に取り組んでいました。私の仕事量や給料について若干不満はありましたが、今目の前にある仕事に集中しようと思いました。また、仕事をする中で、他部署に確認しなければならないことが多かったのですが、質問しても明確な答えが返ってこず、時間だけが過ぎることが多かったので、結局自分で調べて解決することが多かったです。他の職員に対してうんざりすることが増えました。
そのような状態が続きました。忙しい部署で仕事をこなした経験があるため、次の部署も忙しかったりすることが多かったです。分からないことがあれば誰々に聞けば大丈夫の「誰々」になってしまうこともありました。同僚などを見ると、私より適当に仕事をやっているせいか、楽な仕事についている人が多いです。でも、給料は私と同じです。年々、不満が強まってきたと感じていました。休日に仕事をする場合があります。私である必要はないのですが、部署の中で誰がやるかの話になったとき、仕事ができるから。という理由で私になります。新人の時は、喜んでやっていました。人に必要とされていると感じ、嬉しかったです。しかし、このときになっては、「都合よく扱われているな」としか感じませんでした。同期が楽そうな仕事をしているのが羨ましかったです。私がどれだけ他人を気にして助けても、誰も私を助けてくれない。私が仕事をやりやすいように引き継いでも、その人は間違いだらけの書類を私に引き継いでくる。
どれだけきちんと仕事をしても、私が引き継ぐ先が喜ぶだけで、私には何のメリットがない。どれだけ丁寧に教えても、何の学習もしない人たち。マニュアルを示しても、読むつもりのない人たち。少し調べればわかることを、私に聞きに来る人たち。仕事の中で、うんざりすることが増えてきました。後輩に対しては何も思いませんが、同僚や先輩に対して思うことが増えてきました。必要とは思えない仕事、非効率的な仕事など、前時代的な仕事も多く、仕事をするのが馬鹿らしくなってきました。
こうして、私の主体性が減っていき、他者が悪いのだという思考が強まってきました。○○は何できちんと仕事をしないのか。という風に、他者に期待をするようになってしまったのです。変えられないものを、変えられると思うようになってしまったのです。
2 プライベートでも気が休まらない
私が仕事で主体性が減り始めたころ、プライベートでも重要なことが起こりました。私の親族に関することです。死に関することです(亡くなってはいません。)。その人のために、私の信念に反することをしなければなりませんでした。
これだけならまだよかったのですが、そのために、私の休日がなくなりました。家に待機しなければならない時間があったり、気分転換する時間がなくなってしまいました。休日の予定も立てられなくなりました。私は、休日に旅行に行くことが好きで、ストレス解消でもあったので、非常に嫌でした。
しかし、死なせないためにはしなければならないと思い、その嫌という気持ちに蓋をしました。また、その人の死について深刻に考えすぎていました。そのせいで、ドキドキすることが多くなって緊張状態が続き、夜眠れなくなってきました。
3 些細なことを深刻に考えるようになる
うつでよくある症状がたくさん出始めます。
・不眠(早く寝れても2時間くらいしか寝れず、後はずっと起きている。寝ようとしても寝るのに4時間くらいかかる。その後もしょっちゅう起きる)
・慢性的な頭痛
・朝、絶望的な気持ちになり、起き上がれない。12時~夕方の間に気持ちが楽になる(平日は無理やり起きていた。休日はほとんど寝ている。)。
・常に軽い吐き気がする
・動悸がする
・仕事中のケアレスミスが多い
・外見を気にしなくなる
当時は、常にこの世の終わりだ。良いことなんて何もないなどと思っていました。常にネガティブ思想で、楽しい気分になんてなれませんでした。
今思えば、症状は全て、体の具合を細部までしつこく観察したことが原因だと思います。そこまで観察したら、動悸が早くなることは当然ですし、他のほとんどの症状も同様です。どうやってこのような気持ちになったかは後述で分かります。
4 ついに病院に行き休職
ある休日のこと、今までにないほど落ち込み、ベッドから起き上がれなくなりました。自殺したほうが幸せになるのではないかと思いました。きっと病院に行けばうつと診断されるのだろうなと思っていました。しかし、休んだらみんなに迷惑がかかると思い、今まで病院には行けませんでした。
ふと、退職を考えました。年度末に退職すれば、迷惑もかからないのではないか、そう思いました。そのとき、気持ちがすごく楽になりました。退職しよう。そう思いました。そして、病院に行ってみるか、と思いました。退職は決まったとしても、もし本当にうつ病と診断されたら、今の考え自体がおかしなものということにならないだろうかと思ったのです。
早速、次の日に病院に行きました。案の定、うつと診断されました。先生は今すぐに休職を勧め、退職については落ち着いてから考えればいいとおっしゃいました。とても混乱しました。そのときの気分は悪くなく、久しぶりに良い気分だったからです。ずる休みのような気がして、乗り気になりませんでしたが、専門家が言っているのだからと思い、上司に伝え、3か月間休職することになりました。その間は、実家に帰りました。
5 休職 うつの自覚
休職最初は、落ち着きませんでした。ずる休みをしているように感じて、常に動悸がありました。メンタルがやられて休むなんて、ダメな人間だと思っていました。情けない。心底そう思いました。休職して1週間ほど経ったとき、波が来ました。悪い波です。夕方まで、起き上がることができませんでした。寝ているわけではありません。起きてはいるのです。このときから、自分の病気を認め、うつを治そうと、はっきり思い始めたと思います。
そして、私はこのとき、まだ退職するつもりだったので、転職先を探していました。そのため、スカイプでアドバイザーと面談し、「じゃあこういうことをしましょうか」という話になり、私がある準備をすることになりました。準備をしようと思ったとき、激しい動機に襲われました。座ってもいられません。私は倒れました。救急車を呼ぼうかとも思いました。動悸が激しくて胸が痛かったです。痛みは数分で収まり、立てるまで回復しました。
このとき、今私は、頑張ってはいけないのだな、と思いました。私が思っている以上に、うつは深刻な問題だから、今はうつと向き合って、治すことだけを考えようと思いました。何より、こんなつらい状態がいつまでも続くのが本当に嫌だったのです。
6 休職 原因は何か
病院への通院は、週1でした。何度か通院したことがで分かったのは、通院しても、うつは治らないということでした。薬を飲んでも、気分はよくなりませんでした。先生と話をしても、「この人私の話を聞いているのか?」「何の解決策も言わないな」くらいしか思いませんでした。何とかして自分で治さなければ、そう思いました。
どうすればうつを治すことができるのか。私は、書籍に助けを求めました。私が以前読んでためになった「反応しない練習」という書籍があります。メンタルヘルスに役立つ書籍です。
反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
- 作者: 草薙龍瞬
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この書籍と同じ著者が書いた「自分を許せば、ラクになる」を読みました。以前、反応しない練習を読んで衝撃を受けたので、うつを治すとっかかりがあるのではと思ったのです。
しかし、うつの症状は消えませんでした。つらい気持ちは消えませんでした。私は、他の書籍を求めました。自分を許せば、ラクになる。のアマゾンレビューを見ると「嫌われる勇気」という書籍があると知りました。そしてその書籍のレビューを見ると、もしかしたら、これが私が求めるものではないか?という期待が出てきました。続編の「幸せになる勇気」も後で買いました。
この書籍で、アドラー心理学を知りました。一番私にとって衝撃だったのは、目的論です。ある目的のために、一見して自分に不都合な症状(現象)を生じさせる。私は、私のうつ状態は、まさしくこれなのではないかと衝撃を受けました。目からうろこでした。私は、この書籍以外にも、アドラー心理学関連の書籍を読みました。読めば読むほど、確信しました。私は、仕事やプライベートがきつくてうつになったのではない。仕事を休むために、うつという症状を作り出したのだと。
例えば、うつがあることで、私は、私がこの程度の仕事しかできないのは、うつが邪魔しているからだと言えます。本当の自分がもっと仕事ができるのだと、妄想の世界に浸ることができるのです。この目的論により、幸せになることができると、私は思いました。なぜなら、○○だから、△になるという決定論は、変えることができないからです。しかし、目的論なら、変えることができます。不健全なものから、健全なものに変えれば済むことだからです。例で表すなら、仕事ができるのが目的なら、うつなんて不健全な障害を建てずに、単純に自分が健全な努力をすればいいのです。うまくいかなくたって、気にすることはありません。他者を気にする必要なんて、何もないのです。
アドラー心理学を実践すれば、そのように思えるようになるのではないか、そう思いました。
7 休職 延長
アドラー心理学でだいぶ助かりましたが、それを知ったのは休職の期限間近でした。自分の心に心底理解させるには時間が足りませんでした。以前と比べて、だいぶ良くなっていますが、うつの波がまたきたらと思うと、不安が残りました。よく、大丈夫だと思って復職すると、すぐにだめになるという話も聞きます。私は、復職には慎重でした。このときには、転職することはもう考えていませんでした。私がうつの症状を作り出したのなら、転職先でもうつになるかもしれないと思ったからです。それに、転職するなら、復職した後でもできるので、とりあえず復職しようと思いました。
職場と病院と相談の上、休職期間はもう3か月延長することになりました。
8 休職 飛躍
アドラー心理学関係の書籍を読むなか、様々な書籍が文中で紹介されています。そのなかで、さらに私に役立つ書籍がありました。誤った信念を正す本です。私にちょうどぴったりで、書籍の中に出てくる神経症者は、まさしく私でした。アルバート・エリス著「神経症者とつきあうには」です。この書籍には、非合理的・非現実的な信念を正す方法が書かれています。このような信念を持っていると、うつに非常になりやすくなります。うつでなくとも、メンタルヘルスに非常によくありません。
さらにもう一つ、神経症に関連して探して出てきた書籍のおかげで、わたしのうつはなくなったと言っても過言ではありません。あとは、日々実践するだけでした。森田正馬著「神経衰弱と強迫観念の根治法」です。「神経衰弱症は病ではなく、普通の人にも当然起こる感覚、気分に対し、いたずらに執着し、誤想と迷妄とを重ねて病と信じ、いたずらに恐怖、苦悩する。当然、注意が深くなれば感覚も鋭敏になり、感じが強ければ、注意もこれに集中するようになる。次第に、その異常感覚を増悪していくのだ。精神の相互作用だ」といったことが書かれています。治療法は、森田療法といわれるものだと思います。
私は、自分のうつについて、まず、私が非合理的・非現実的信念を持っていたことが端を発していると考えました。その誤った信念がなければ、おそらくうつになっていないだろうとまで思います。誤った信念がなければ、負の感情が生じることはないと思っているからです。仕事に対する主体性が減ってきたことも、誤った信念が原因だと考えています。また、私のうつの症状は、精神の相互作用の力によるものだと思います。注意が集中することで、何の問題もない生理的現象が、異常現象だと勘違いされるのです。以上のことを踏まえ、アドラー心理学を実践(課題の分離など)すれば、うつなどなくなると思いいたりました。
この考えになってから、最もきつかった朝の沈んだ気分はなくなりました。庭で草むしりなどすることが楽しかったです。幸せになれるのではないか、そう思えるようになりました。
9 慣らし出勤
休職中ですが、ちょっとずつ職場に出勤し始めました。とても緊張しました。元の部署に対して申し訳ない気持ちがあったからです。怖さもありました。日が経つにつれ、少しずつなくなるかと思いましたが、あまりなくなりませんでした。ただ、することは出勤することだけなので、特に何も思わないようにしながら出勤していました。
10 復職
無事、復職できました。職場は私が慣れている部署にしてくれました。今では、休職したことの負い目は最初と比べてなくなりました。時間が解決してくれると思います。うつの状態もありません。日ごろからうつのときに学んだことを実践しているからです。特に、誤った信念に対し反論することはよくしています。このブログも、メンタルヘルスをよくするためにしているようなものです。
11 まとめ
私は、ひどいうつになってよかったと思っています。そうでなければ、今の自分はいないからです。今の私になるためには、ひどいうつになるしかなかったのです。
私は、今もアドラー心理学やアルバート・エリス、森田氏の考えを実践しています。最近では古典哲学なども読んでいます。言葉は違えど、同じ趣旨のことを言っているので、そのたびに感動を覚えます。
最後に、今、日ごろから心がけていることをあげます。
これらを実行すれば、きっと幸せだと思います。
・ 朝はすぐに布団から出る。
ずっと寝ていると、気分が沈むのが普通だから
・ 部屋をきれいにする。
汚いと、やる気がなくなるから。
・ 人に身勝手な期待をしない
・ 他者は仲間だ
・ 主体性を持つ
自分がどうしたいか
・ ネガティブな言葉を使わない
言葉は性格になる
・ ありのままを受け入れる
・ 変えられるものと、変えられないものを見分ける
・ 気分はからだの調子に左右されることを肝に銘じる
・ 感情に頼らない
・ 誤った信念を正す